access 法人紹介

ご挨拶

 皆さんはハンセン病という病気をご存知でしょうか。
ハンセン病は、「らい菌」という細菌がおこす慢性の感染症です。病名は1873年にらい菌を発見したノルウェーの医師アルマウェル・ハンセンの名前に由来します。
らい菌の病原性は極めて低く、感染したとしても人間の免疫力によって簡単に排除されてしまうため、発病に至ることは非常にまれです。こんにちの日本を含む先進国では新たな発病を見ることがほとんどできません。第二次世界大戦後には適切な治療が行われ、ハンセン病は早期発見・早期治療により後遺症を残すことなく完治できるようになっています。
 日本ではとりわけ第二次世界大戦後に国際社会からの度重なる非難にもかかわらず、1996年に「らい予防法」が廃止されるまでの約90年間に渡りハンセン病患者をハンセン病療養所に隔離する政策がとられてきました。かつて国はハンセン病を「感染力の強い恐ろしい伝染病」と誤った形で伝え国民の不安をあおり、戦前戦後には官民をあげた「無らい県運動」が展開され、ハンセン病患者を家族や地域、社会から療養所へ隔離しました。
 「ハンセン病に対する偏見と差別を生み出した日本のハンセン病患者隔離政策と療養所の歴史を後世に正しく伝えたい」「私たちの生きた証を残したい」-私どもはこのような国立療養所長島愛生園、邑久光明園(岡山県瀬戸内市)及び大島青松園(香川県高松市)入所者(ハンセン病回復者)の皆様の声を契機として成立いたしました。
 療養所入所者の皆様の平均年齢は85歳を超え、入所者自身による「語り部活動」の存続が近い将来困難になると予想されます。療養所内の不動産をユネスコ世界文化遺産として、関連記録物をユネスコ世界の記憶(世界記憶遺産)としてそれぞれ登録することが実現すれば、療養所と入所者の皆様の歴史を後世に語り継ぐことに貢献ができ、ハンセン病回復者の皆様の真の名誉回復に微力ながら寄与できると私どもは考えます。
 もちろん、これら世界遺産への登録を実現するには多くの高いハードルが待ち構えています。まずはweb siteをご覧いただき、より多くの皆様から共感いただければと思います。共に偏見と差別のない未来へのモニュメントを残していくために。

特定非営利活動法人
ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会

理事長 原 憲 一

私たちの取り組み

偏見と差別のない社会こそ、ハンセン病患者の生きた証。 心の底から、そう思える日を目指して。私たちは記憶という財産を次世代に引き継いでいくため、ハンセン病療養所内の建造物・記録物を「ユネスコ世界遺産」に登録することに取り組んでいます。

<ユネスコ世界文化遺産>
文化的意義が国境を超えるほど顕著であり、今日及び次世代のすべての人類に共通に重要である「顕著な普遍的価値」を有する記念建造物や遺跡です。 土地や建物という不動産の資産が対象です。世界遺産条約にもとづく制度で、遺産保有国を中心に国際的な協力と援助の下で登録資産の保護・保全が行われています。

<ユネスコ世界の記憶>
世界的重要性を有する歴史的記録物です。文書や音声、画像という動産の資産が対象です。 1992年に創設されたユネスコ主催事業で、資産の保全とその重要性について世界的な認識を高めることや資産への普遍的なアクセス確保の支援を目的とします。

キャッチフレーズ・ロゴマーク

「未来につなげたい、大切な記憶」――、これは過去と現在、そして未来をつなぐキャッチフレーズです。
私たちは、ハンセン病患者の隔離政策という悲しい記憶を忘れてはいけません。いつまでも語り継ぐことで、過ちを繰り返すことなく、偏見や差別のない未来へとつなげていくことができるはずです。「子どもや孫たち、そしてその先まで続く未来のために、大切な記憶を未来へとつないでいけたら」――。
この願いを込めて、キャッチフレーズをつくりました。
ロゴマークは法人の頭文字「H」を横長に伸ばし、橋に見立てたデザインになっており、歴史を未来へ「橋渡し」する願いを込めています。そしてH(ハンセン病・ハンセン病療養所)にまつわる3つ表情「苦しみ・痛み」「孤独・沈黙」「回復・励まし」を表現しています。マークデザインの詳しいご紹介は下記よりダウンロードください。