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メッセージ

私たちには、語り継ぎたい記憶と
世界中に伝えたい想いがあります。

かつて、この島にはたくさんの人々が暮らしていました。瀬戸の多島美に抱かれ、四季折々の風景とともに人々の営みがありました。しかし、美しい自然とは裏腹に、人々の表情は決して明るいものばかりではありませんでした。

それは、この島で暮らす人々の抱える、ある事情がそうさせていたからです。ハンセン病に罹患したがために、家族から無理矢理に引き離され、故郷を追われ、この島に隔離されていたからです。この島の人々は、偏見や差別を恐れながら暮らしていました。
各地から強制的に送り込まれてくる患者の中には、まだ幼い表情の小さな子どもも含まれていました。自分の置かれている状況も理解できないまま、国による誤った隔離政策により、この島に閉じ込められてしまう――。

この島には、悲しい記憶があるのです。

島の記憶を語り継ぐ人は、年々少なくなっています。このままでは、記憶が消えてしまい、未来へとつなげなくなるかもしれません。

島々に残された大切な記憶を、偏見や差別のない未来へとつなげていくのは、私たち一人ひとりの役割です。偏見や差別は、決してハンセン病だけのものではありません。私たちの心の中に、差別の芽は潜んでいます。

その芽を大きくさせないために、この島を世界遺産に登録することで保存し、島々に残された大切な記憶を語り継ぎ、未来へとつないでいく――。これが私たちにできることです。私たちと一緒に、大切な記憶を未来へつなげていきませんか?